基 本 構 想

 1.計画の策定にあたって

 (1)計画策定の趣旨

 昭和63年度からの第3次瀬棚町総合計画では、平成9年度までを目標年次として、「豊かな自然につつまれた魅力あるあすのまちづくり」をテーマに、4つの基本目標により、生活環境の整備、福祉の向上、教育・文化の充実、産業の振興など各施策に取り組んできました。
 この間、いわゆるバブル経済の発生とその崩壊は、国内経済を大きく揺るがし、その後遺症と長期不況により今もなお景気の低迷が続いています。また、国の行財政改革、地方分権など地域を取り巻く環境は大きく変化してきました。
 その中で、平成5年の北海道南西沖地震と平成9年の国道229号第2白糸トンネルの崩落事故は、地域経済に大きな影響を及ぼし、さらに尊い命を奪うなど精神的不安を抱え、その復興に向け町民が一つになって取り組んでいます。
 来るべき21世紀には、国際化・高齢化・情報化など、新しい時代の流れもますます加速するものと考えられ、地域社会に大きな影響を与えてくることが予測されており、これからのまちづくりは、常に足元を見つめ、新しい視点と発想が求められています。
 第4次瀬棚町総合計画は、地域を取り巻く環境の変化を的確にとらえ、これまでの取り組みの成果を踏まえながら、新しいまちづくりを進めるための指針として策定するものです。

 (2)計画の基本的考え方

 この計画は、瀬棚町の今後10年間の進むべき方向や取り組みを示すものであり、あわせて、国や北海道、民間などの事業を誘導するための役割を担うものです。
 また、21世紀に向けての地域の新しいまちづくり計画として、多くの町民の思いや願いのもと、行政と町民、企業、団体それぞれが協力し、まちづくりに取り組むためのものです。
 そして、総合的・計画的に進めるための指針とする本計画と各分野ごとそれぞれ個別に持つ諸計画が一体となることが必要です。

 (3)計画の構成と期間

 この計画は、基本構想・基本計画・実施計画によって構成されており、その内容は次のとおりです。
●基本構想は、町の将来像や基本方向などまちづくりの目標、施策のあらましを示しています。
●基本計画は、各分野ごとに現状や課題、取り組みの方向と主な施策を示しています。
●実施計画は、基本計画の各施策を具体的に進めるための事業を示し、毎年、情勢に応じ手直しするローリング方式により実施します。
 この計画の期間は、平成10(1998)年度から平成19(2007)年度までの10年間とします。

平成10 11 12 13 14 15 16 17 18  19年度
(1998)                  (2007)
基本構想(平成10年度〜平成19年度)
基本計画(平成10年度〜平成19年度)
実施計画
   
     
 ・・・
 

 (4)計画の改定

 時代とともに変化する価値観や地域振興に必要なものを常に整理し、より実行性の高い計画のもと施策に取り組むため、前期5年間の計画の取り組み内容をまとめ、その時点での社会情勢や瀬棚町の暮らしぶりを見極め、後期5年間の取り組むべき方向や事業について、改めてまとめます。
 計画の改定時期は、計画前期が終了する平成14年度中とします。

 (5)瀬棚町の概況

●自然概況
 瀬棚町は、北海道南西部、檜山管内の最北端に位置し、自然発生的に開けた沿岸部と開拓によって拓けた内陸部からなり、美しい海岸線と狩場山系が連なる豊かな自然環境に恵まれた町です。気象条件は、道内にあっては比較的温暖で、降雪は12月中旬、融雪は3月下旬と早く、暮らしやすい地域となっています。

●立地概況
 北は後志支庁管内島牧村、東南は北檜山町に接し、西は日本海に面し離島奥尻とは海上43kmの至近距離にあります。町内を通る国道229号は江差から小樽までを結び、長万部方面へは国道230号で結ばれ、国道5号や整備中の北海道縦貫自動車道を利用し、函館・札幌などへ通じ、長万部までは定期バス、函館まで直行バスが運行され、JRは長万部から、航空路は函館空港の利用が多く、札幌へも直行バスが、離島奥尻へはフェリーがそれぞれ季節運行しています。

●経済概況
 経済圏は、函館圏と札幌圏の中間にあります。産業構造は、漁業と農業が中心であり、漁業は獲る漁業からつくり育てる漁業への転換を図りつつあり、農業は安全で収益の高い農作物の生産が求められ、商業は購買力の流出など課題も多く、海を中心とした観光は夏季間の賑わいに止まっており、産業や歴史・文化と一体化した滞在交流型が望まれています。

●人口概況
 瀬棚町の人口は、昭和35年の6,013人をピークに以後減少傾向にありますが、平成2年と平成7年の国勢調査の比較では、9.8%の減少とこれまでに比べやや緩やかな減少となっています。人口動態を見ても、死亡数が出生数を上回る自然減と転出が転入を上回る社会減が続いています。

 (6)瀬棚町の課題

 21世紀において瀬棚町がさらに飛躍・発展するためには、急速に変化する社会と時代の流れを的確に見通し、地域としての課題を常に整理することが必要です。

1.みんなで進めるまちづくり
 若者の大幅な減少と高齢化・少子化、もの中心の時代から環境やゆとり、文化の豊かさ、生活の質の高さが求められており、前計画時と比べ大きく転換する時代の中、多様化する町民の要望に応じた、きめ細かな取り組みによる町民参加のまちづくりが求められています。

2.活気のあるまちづくり
 ニシン漁で栄えた海の町。潮風をいっぱいに受けた豊かな大地。恵まれた自然環境の中で育った地域産業も大きな転換期を迎え、新しい時代に対応した取り組みによる活気のあるまちづくりが求められています。また、産業を支える若者の定住や新たな産業起こしへの取り組みが課題となっています。

3.安全快適な美しいまちづくり
 海や山などの自然は、生活にうるおいを与え人々の心にゆとりをもたらします。日本海や狩場山系などの豊かな自然と共に暮らし、景観を生かしたまちづくりを進める必要があります。また、環境汚染や森林の減少などへの取り組みも大きな課題となっています。

4.安心とやすぎを感じるまちづくり
 町民アンケート調査では、町の将来像として「医療・福祉の充実」が高い割合で示されています。高齢者や障害を持つ人をはじめ、町民の誰もが、健康で安心して暮らせるまちづくりが求められています。また、健康づくりに対する町ぐるみでの取組みが必要です。

5.ふるさとに誇りを持てるまちづくり
 町民アンケート調査の郷土の誇り・宝では、「三本杉」と「荻野吟子」が上位を示すように、貴重な歴史と自然を生かした、個性豊かな教育や文化を創造し、ふるさと「瀬棚」に誇りを持てるまちづくり活動が求められています。




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